• 『海海人生!! 横尾忠則自伝』
    著:横尾忠則 訳:鄭衍偉 
    原題: 「波乱へ!! 横尾忠則自伝」
    臉譜出版 2013
    190×132×40 mm

    右ページはカバーを外して開いた状態

  • 『海海人生!! 横尾忠則自伝』

    帯を外した状態。背とカバーの文字がつながっている

王志弘

Wang Zhi-Hong | ワン・ジーホン

日本版の非常にミニマルなデザインに対し、この本の王さんのデザインはとても情報量が多いですね。

  そうですね。ただ、このとき(2009年)は日本語を大きくカバーに入れているのですが、近年では外国語の文字を大きく入れることを控えるようにしています。

一方で、『波乱へ!! 横尾忠則自伝』(『海海人生!! 横尾忠則自伝』)は非常にシンプルなカバーデザインですね。

  横尾忠則さんの本をデザインするのは、とても難しいことです。なぜなら、非常に個性の強いアーティストである上に、彼自身が多くのブックデザインに携わっているからです。僕の手元には使用できる原画は1枚もなかったし、彼のデザインを模倣しても意味のないこと。たどりついた結論は「ないのなら、ないままで」。横尾忠則という名を聞けば、あるイメージが思い浮かぶかもしれませんが、僕の知る限り彼のデザイン能力はとても高く、ミニマルなデザインにも長けています。だから、あえて空白のままにしようと。そして白いカバーが出来上がったのです。カバーの下と背に「T.YOKOO」と入れたのは、彼が作品に入れるサインから来ています。まず背のデザインを決め、大文字の「O」が正円の形の書体を選び、「O」を軸にサインが回転して直角でつながるようにして、カバー下にも「T.YOKOO」のサインを入れました。

原書のデザインは誰が手がけたのでしょうか。

  原書も、横尾さん本人ではありません。菊地信義さんです。思うに、横尾の原画をカバーデザインに使用できないのなら、誰がブックデザインを手がけるとしても、そのプレッシャーは相当なものになると思います。なぜなら、横尾忠則というアーティストの持つインパクトがすでに強烈過ぎるほど強烈だからです。だから菊地信義さんといえども、タイトルを絵の上に載せるほかなかったのかもしれません。

王さんは、原稿を読んでからデザインにとりかかるのですか?

  読みながらデザインを進めます。

読んでから、ではなく、読みながら。おそらく、編集者的な感覚がとても強いのですね。『横尾忠則自伝』はカバーデザインと、カバーを外したときとで、表情ががらりと変わりますね。

王  まず帯から説明すると、赤と黄という配色にしたのは、宗教感とその通俗性を出したかったからです。横尾さんの思想や作品の一部はとても宗教的で、彼自身、赤と黄という配色を好んでよく使っているようです。「SOURCE」シリーズでは編集も一部やらせてもらったので、帯のキャッチコピーや文字組も僕が考えました。表からは見えませんが、帯を折り返したソデの部分には、たくさんの単語が過密に並べられています。これは横尾さん自身に対する形容や描写で、本文から拾ってきたキーワードです。そしてこれを本体の表紙にもいっぱいに散りばめています。この自伝は、横尾忠則という一人の人間そのものだと思うのです。そして横尾というたった一人が内包するさまざまな感情の現れでもある。ここに詰め込まれた単語群は、その複雑な人物像が立ち上がるように、横尾という人物を言葉で表したイメージの塊のようなものです。