• 『女神打排球』
    著:郭靜瑤 
    田園城市 2011
    170×170×20 mm

  • 『為台灣文學朗讀 2 遠行與回歸的長路』
    中華文化總會 2015 
    250×175×20 mm 

    作家の朗読を収録したCDとポスター付き

  • 『遠行與回歸的長路』の付録ポスター

霧室

Mistroom | ウーシー

本を開くと一本の糸が表紙から背表紙を結ぶように張られているのは、何かの例えなのですか?

ルイイ バレーボールが本のタイトルなので、ネットのイメージで糸を張りました。読者も作家とラリーをするかのように読み進んでもらえればと思いました。彼女は恋する相手との会話のキャッチボールが得意ではないんですけど(笑)。糸が切れないようにするには、丁寧にページをめくっていかないといけない。恋愛の儚さ、慎重に扱わなければならないデリケートさの比喩になっています。『我的母親手記』もそうですが、糸というのはすごく象徴性のあるものだと思います。小指を結ぶ赤い糸とかもそうですね。

次の本、『遠行與回歸的長路』は布地が表紙になっているんですね。縁のところの糸が出ていて、かなり特徴的ですね。

ルイイ この本は、台湾の教育放送、國立教育廣播電台のラジオ番組「為台灣文學朗讀」(台湾文学のための朗読)からスタートした企画で、小説家、散文家、詩人など台湾を代表する作家の肉声を収録した、聴く文学シリーズです。番組の内容を記録したCDアルバムをオリジナル記念ボックスで出したいということで、デザインの依頼を受けました。詩、小説、郷土文学のシリーズ3部作となっていて、今のところ2冊目の『遠行與回歸的長路』まで完成しています。企画した中華文化総会からは、記念盤としてコレクション性の高いものにしたいという要望がありました。

レイヨ 高級感のある上製本でつくることも検討しましたが、堅いものでは、作家たちが持つ優しくて暖かい雰囲気は出せないと思ったんです。

ルイイ そこで、カバーに昔からある麻地の帆布を使用しました。この生地はまだらになっていたりして派手さはありませんが、強度のあるしっかりとした素材です。本の中には郷愁を描いた作品も多く収録されているので、素朴な自然素材を選びました。

収録されている作家の多くは戦後中国本土から台湾に来た人々で、生まれ故郷に帰りたくても帰れない世代にあたります。台湾にいながらも、大陸にいる遠い家族のことを想って暮らしてきた、その感覚を大事にしたいと思ったんです。

レイヨ 彼らの思いと重ね合わせるように、中のページには刺繍を施しています。刺繍には「思い」が伝わってくるような温かさがあるので。

『遠行與回歸的長路』の表紙の印刷はシルクスクリーンですか?

レイヨ シルクスクリーンです。金色のインキも含めて、3色のインキ、3版使って刷っています。

ルイイ 布は端のほつれは、鉄のブラシを使って一冊ずつ手作業で裂いていきました。収録されている作家は抑圧を受けてきた人たちなので、どこか反骨精神がある。そんな反骨精神をブックデザインに反映させたいと考えたのです。

鉄のブラシで布のほつれを出す作業はどこでやったのですか?

レイヨ Tシャツ工場です。

ふだん本の加工をやっているところではないわけですね。

レイヨ はい。ですので、工場まで行ってしっかりとコミュニケーションをとって「これはちょっと難しいけど、こうすれば加工できますよ」と話し合いながらお互いの妥協点を探り合っていきました。ただ僕たちは納得のいく仕上がりにならない限りは、GOサインは出しませんでした。

ルイイ セットの内容はCDの他に、自筆原稿のレプリカも収録しています。本書のために、高齢の作家の方々に直筆で書いてもらったものなのでとても貴重です。このアイデアは僕たちが編集者に提案をしました。本人にコンタクトをとってもらい、編集者にお願いに行ってもらいました。パソコンで打ち出した字では、詩人の個性や、字から出て来る人柄は絶対に伝わりません。こういう手書きの文字はやはり興味深いものです。

中に入っているポスターは当時の本を並べて撮影しているのですね。かっこいいですね。

ルイイ 付録ポスターでは、昔の本を集めて原寸大で刷ってみました。昔の本は入手困難なものばかりで、資料を探せば過去のカバーデザインを知ることはできても、原寸大で体感することはなかなか難しいと思ったからです。

レイヨ ここに出ている雑誌『劇場』(19651968)は学生の頃からずっと好きなもので、装幀家の黄華成が手がけたものです。実物の本を手にしたときは、あまりにも素晴らしくて、衝撃を受けました。数冊はコレクターに提供してもらったもので、あとは、重要史料センターから借りたものもあります。