• 『1980年代的愛情』
    著:野夫 
    南方家園 2013 小説
    210×150×15 mm

  • 『塵世樂園』
    著:F. スコット・フィッツジェラルド 
    訳:陳榮彬 
    邦題: 「楽園のこちら側」 
    南方家園 2010
    210×149×26 mm 

  • 『雙子星人預感』
    著:李雲顥 
    逗點文創結社 2011 詩集
    200×148×8 mm 

  • 『河與童』
    著:李雲顥 
    小小書房・小寫創意 2015 詩集
    210×149×17 mm

  • Timonium lakeのロゴ

  • 『和歌山 歌劇 WAKAYAMA OPERA』
    著:高倩怡(JOJO KAO)
    TIMONIUM LAKE 2011 写真集
    125×168×5 mm 

  • 『GOODNIGHT』
    著:楊雅淳 
    Timonium lake 2013 写真集
    210×149×6 mm 

何佳興

Ho Chia-Hsing | ホー・ジァシン

本の隅々まで創意工夫を凝らす

『1980年代的愛情』(1980年代の愛情)のカバーでは細いエンボス加工をしていますね。

何  この本は野夫という中国の作家の小説です。設定が1980年代なので、どうやったら若い人に関心を持ってもらえるかを出版社と話し合って、こんなふうに仕上げました。紙の繊細な風合いを生かしたかったので、表紙はあえてシンプルな白にしました。カラフルな帯を掛けることで白が引き立ち、インパクトが生まれます。

蛍光色の帯が印象的ですが、扉も鮮やかですね。

  帯と扉は一緒に印刷した紙を使っています。

タイトルの入った扉のページの前に、さらに扉のページが2枚ありますね。

  台湾では扉紙1枚が多いかと思います。通常、扉ページは白ページにします。昔は本を読んでいて汚れてしまった手を拭くためのものでしたが、今は手が汚れるということもないので、ただ名残で付いています。僕は、本によっては扉ページを使って、カバーに合わせてグラフィックを入れたりしてます。そうすることで表紙との一体感も生まれ、作品の魅力がより伝わるものになると思っています。

去年、この本で台湾のブックデザイン賞「金蝶獎」2014年の大賞をいただいたのですが、エンボスが細くてうまく写真が撮れないらしいですよ(笑)。宣伝用の写真は線の入稿データで代用したりしました。

繊細すぎてしまったんですね……。

  次の本はフィッツジェラルドの『塵世樂園』(楽園のこちら側)。帯の文字は、全て斜め45度になっています。

しかも帯が変形ですね。

  話の舞台がジャズ・エイジの時代に入った頃のアメリカなので、中のレイアウトや版面も従来のブロック感をなるべくなくして、本文用紙もカラーペーパーをうまく使って、全体的に躍動感が出るようにしました。動線や配色のバランスをとりながら、本の持ち味をいろいろな角度から引き出すことを試みました。

こんなふうに帯や文字で遊んだ後、本自体も変形本でつくれないかと思うようになり、それを実現したのが李雲顥の詩集『雙子星人預感』(ふたご座星人の予感)です。天地の部分が少し斜めに傾いた台形の判型になっています。

確かに斜めだ! 本のタイトルが表紙に見当たらないのですが、どこにあるんですか?

何  書名は背にカバーの紙を透かすように入れています。この詩集は真ん中から左右両方向から読み進むことができます。奥付も表紙に入れて、裏表紙側から斜めに読むようにしています。詩集なので自由にやらせてもらいました。

同じ詩人の2作目『河與童』(河と童)は、隠喩表現の多い面白い詩集です。カバーは全面ツルっとした紙にして、カッパの頭の皿を撫でているような手触りを表現しました。ただ詩人のお皿は単純な丸ではないだろうと、表紙のグラフィックは雲のような形にしました。

僕はTimonium lakeという名で、自主的に書籍シリーズを企画発行しているのですが、この2冊はまだ無名の若手の写真集です。楊雅淳の『GOODNIGHT』と、高倩怡『和歌山 歌劇  WAKAYAMA OPERA』。隠れた才能と一緒に仕事をしたいので、チャンスを伺っては若手の作家に僕から声を掛けているんです。若い人の独特の感覚を取り入れながら一緒につくりあげました。

レーベルの名前Timonium lakeのTimonium(ティモニアム)ってどういう意味なんですか?

  Timoniumはあるバンド名だったり地名でもあるんですが、意味は辞書にも載ってなく、はっきりとわかりません。響きが気に入っているのでずっと使っています。Timonium lakeのロゴに一文字漢字を使っているのですが、その漢字は「雨」という字に「草冠」をつけて、僕が新たにつくった字です。僕のイメージではTimoniumは原っぱに降る雨……あくまで自分の想像的解釈ですけど。