• 自宅兼アトリエ。小子さんはここで、
    時にPCに向かってCGをつくり、
    時にキャンバスに向かって油彩画を描く

小子

Godkidlla | シャオツー

ブックデザインでは、本文組版まで手がけるのですか?

小子 稀に手がけることもありますが、ほとんどは表紙周りだけです。本文については僕がフォーマットを指定し、DTP会社などでそれをレイアウトするのが一般的です。本文まですべて僕が手がけると、その分コストがかかり、出版社側の負担が大きくなってしまうんです。

本文用紙は小子さんが選んでいるのですか。

小子 そうですね、紙は僕が選びます。たとえば本のページ数が少ない場合は、束を出すために嵩高の厚めの紙を選ぶなど、本そのものの性格や個性を踏まえて紙選びをします。読みやすさももちろん考慮します。

原稿は読んでからデザインしますか。

小子 はい、全部読みます。実は、まだ駆け出しの頃、原稿を読まないでデザインをしたこともありました。しかし読まずにつくったデザインは、中身と外見に落差が生じ、どこかギクシャクした関係になってしまったんです。そのことに気づいてからは、必ず原稿を読んでからデザインに取りかかるようにしています。内容を読まないと、作品の内なる風景やその特徴をデザインに反映することができませんから。

小子さんのブックデザインは、タイトルをご自身で書かれたものが多いのですが、書道は大学の美術科に入る前からやっていたのですか。

小子 いいえ。大学に入った頃は、書道なんてまったく上手に書けませんでした。デザイナーとして実際に仕事をこなしていくうちに、既存のフォントだけでは物足りなくなり、本の世界観に沿った文字を自分でつくらなくてはと思うようになって、それから猛練習しました。最初の頃は、苦痛でしかなかった。1文字につき、B1サイズの紙で70枚、80枚と書き潰していきました。だから当時、僕のスタジオの床は、書道の練習用紙で埋め尽くされていた。そんな時代を経て、今では滑らかに書を書けるようになりました。

最後に、中国語で「小子」、英文表記で「Godkidlla」というお名前の由来をお聞きできますか。「小子」は本名ではないですよね。

小子 「小子」(シャオツー)は中国語のスラングで「こいつ」「あいつ」というような意味です。小中高大とずっと、同級生は皆、僕のことを「小子」と呼んでいましたし、家族でさえもそうでした。僕の小さい頃、「好小子」(カンフー・キッド)という、ちびっ子3人組が主人公の映画があったんです。「好」がつくと「いい子」という意味になるので、「好小子」は「いいやつら」みたいな意味。僕はこの映画が大好きで、あるとき、家でビデオを見ながらカンフーの真似事をしていて、家具を壊してしまって……。それ以来、両親も僕のことを「小子」と呼ぶようになりました。

「Godkidlla」は、僕の大好きな「Gozilla」と小子の「Kid」を合わせた造語です。僕の英語名でもあるのですが、屋号だと思われているので、外国の方も僕を「シャオツー」と呼びますね。

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こうと思ったら信念は曲げない。アナーキーで、世間体に縛られず、自分の評価や地位がどれだけ上がっても、素のままの飾らぬ自分であり続ける。

そうかと思えば、曲げられないとわかったクライアントの要望には徹底的に応え、ひいてはそれを自分の作風にしてしまうしなやかさも持つ。小子は、青竹のような人だった。

実現したいデザインのためには労力は厭わず、細部まで妥協なく突き詰めて、作品の世界観を本の形に落とし込む。自ら書店までつくってしまうほどに、ただひたすら本を愛している、それが小子というデザイナーなのだ。


小子|Godkidlla

1981年生まれ。国立高雄師範大学美術科卒業、同大学大学院視覚設計研究所修了。在学時からさまざまな展覧会を企画し、展示や図録、印刷物のデザインを手がける。卒業後はフリーランスデザイナーとして活動。主なジャンルはブックデザイン、CDジャケット、映画の宣伝美術物など。現在、キュレーター、アーティスト、デザイナーとして活動すると同時に、台湾南部の高雄にて三餘書店を経営している。