• 『惡之華』初版
    著:シャルル・ボードレール 
    訳:郭宏安 
    邦題: 「悪の華」
    新雨出版社 2012
    210×150×37 mm 

    『惡之華』第二版
    著:シャルル・ボードレール 
    訳:郭宏安 
    邦題: 「悪の華」
    新雨出版社 2014
    210×150×34 mm 

    台湾では再版時に装幀を変えることがしばしばある。下が第二版

  • 小子さんがデザインした
    バーコードの数々

小子

Godkidlla | シャオツー

見たこともないバーコードデザイン

小子 もう1冊、トレーシングペーパーを用いた本があります。シャルル・ボードレールの『悪の華』(『惡之華』)のカバーには、UVではなく普通の油性オフセットで印刷しました。花と文字の一部を特色の赤で、周囲を黒ベタにしています。

美しいですね。下の表紙の絵柄がうまく透けてる。

小子 『你是穿入我瞳孔的光』と同じトレーシングペーパーを使っています。表紙には著者のポートレートが横向きに黒で刷られており、表紙の上にカバーを掛けて重ね合わせると、花の部分に顔がうっすらと浮かび上がってくる。カバーの花の絵はもとは写真だったのですが、手で動かしながらスキャンしたので、このような揺らいだ形になっています。

そして、こちらが再版のデザインです。

カバー、表紙ともに再版でデザインが変わっているんですね。なぜデザインを変えたのですか。

小子 初版の売れ行きが良かったこともあり、増刷にあたって、そのデザインを超えるものをつくってほしいと出版社から要望がありました。しかし、自作を超えるものをつくるというのは大変なことです。再版では、「悪」や「死」というテーマにもっと迫った、高貴で官能的なデザインにしようと思いました。

そこで、まずカバーには、ものすごい腐臭を放つという「死体花(ショクダイオオコンニャク)」のイラストレーションを描きました。この作品には、人間の内面に潜む闇の吐露がていねいに描かれています。背徳的な、穢れた原罪のようなものを、汚い言葉で綴っているのですが、それがまた読者の心を強く揺さぶる。のみならず、哲学や社会学などの世界にも大きな影響を与えました。僕にはこの怪作が、強烈な悪臭を放つ妖艶な花のように思えた。それで、死体花の絵を、一筆一筆、なるべくていねいに描きました。

また、文字のディテールを強調したいと思い、帯には箔押しをしています。表紙のポートレートは、粒子の粗い、目元のアップに変更しました。

カバーに戻って、花の絵のこの部分を見てください。裏表紙側の花芯の部分……実はこれがバーコードです。花と一体化しているんです。

これはすごい。日本ではまず許されないですね。

小子 先ほども申し上げた通り、なるべく違和感なく全体のデザインに統一感を持たせたいと考えているので、バーコードも時間が許す限りデザインしています。他にも、たとえばベッドの上で絵本の読み聞かせを聴く子ども、メリーゴーランド、都会のイメージ、第二次世界大戦の建築物など、バーコードをさまざまな形にデザインしています。

建築物と一体化させたものは、出版社が本を書店に並べに行ったとき、書店員から「バーコードはどこですか?」と問い合わせがあったそうです。それから、Facebookで書店員が僕のデザインした本を挙げて、「バーコードのわかりづらい本は本当にイライラする!」と書いているのを見かけました(笑)。

そういう話が出版社に伝わって、「バーコードを変形させるのはやめてほしい」と言われたりしないのですか?

小子 出版社は一緒に楽しんでくれていますね。最初の頃は「読み取れなかったらどうしよう」と少し怖がっていたので、説得するにも時間が必要でしたが。