• 『你是穿入我瞳孔的光』
    著:伊格言
    逗點文創結社 2011
    190×132×10 mm
    上はトレーシングペーパーに
    白ベタを刷ったカバー、
    下は文字を型抜きした表紙

小子

Godkidlla | シャオツー

逆に、コストをかけてつくった本はありますか?

小子 『你是穿入我瞳孔的光』という詩集は、印刷加工に非常にお金のかかった本です。

表紙の題字部分に穴が空いている。

小子 製本工場で型抜きしてもらったのですが、明朝体の漢字の細かい部分は機械で型抜きしただけでは落としきれず、カスが残ってしまう。そういう部分は人の手で一つ一つ抜き取っています。

人の手で。

小子 このデザインは、型抜き機でできることの限界に挑戦しているようなものでした。一定のラインに沿った流れ作業で完成するような加工であれば、手間も工賃もそれほどかからないのですが、この本は型抜きを完成させるのに1冊約20分はかかりました。仕事が増えたことで、作業員の方々の顔色がどんどん悪くなっていき、僕は彼らの顔を直視できないほど申し訳ない気持ちになりました。最初は通常の加工と同じ金額でお願いしていたのですが、その後、調整し、少しでも皆さんに気持ち良く仕事をしてもらえるために、飲み物などの差し入れを何度もしました。

制作過程で何度も工場に足を運ばれたんですね。

小子 そうですね。僕の本は付き合いのある工場に頼むことも多いので、デザインや紙、仕上がりのイメージに適した印刷方法や加工手段、上がってくるクオリティなどをある程度は把握していますが、たいていは実際に工場に出向いて、各工程の立ち会い、仕上がりの確認に行きます。

印刷立ち会いに行かなければ、実際の色ののり具合はわかりません。印圧の設定ひとつで発色が変わってしまう。ヘミングウェイの『日はまた昇る』の帯は、クラフト紙に黒をベタで刷りました。ベタで刷るとはいえ、ムラ感があり紙の質感が楽しめる印刷の仕上がりを狙いたかったので、印刷機のプレス具合のチェックを現場で行いました。そういう繊細な調整は、現場にいなければ欲しい加減にできませんから、工場に足を運ぶことは必須ですね。

『你是穿入我瞳孔的光』はカバーもすごいですね。これは……、トレーシングペーパーに白をベタで刷っているんですか?

小子 はい。文字部分のみを残して、トレーシングペーパーにUVオフセット印刷で白ベタを刷りました。

最初に見たときは、加熱空押しした部分が透けるパチカという紙を使って、タイトル部分を空押ししたのかと思ったんですが……。タイトルだけを透けさせたいがために、そこだけ紙地を残し、それ以外の部分を全面白で潰すというのは、すごいこだわりです。そしてISBNコードなどは黒で印刷しているから、2色印刷なんですね。なんてぜいたくなトレーシングペーパーの使い方なんでしょう。

小子 台湾でもトレーシングペーパーは非常に高価ですし、紙の特性として、印刷の色数が多いほど、にじんだり、皺が寄ったりしやすいという問題もある。でも今回はすぐに乾くUVオフセット印刷だったので、このデザインを実現することができました。