• 「漢字を書くときは、筆先をこのように
    押さえつけ、終筆は下に引っ張るように……」
    筆の使い方を解説してくれる小子さん。
    奥に筆のセットが見える

小子

Godkidlla | シャオツー

ところで、小子さんの筆のセットはすごいですね。

小子 画材道具はたくさん持っています。エアブラシ、アクリル絵具、大小さまざまな筆、油絵具。手作業ならではの質感を出すためにも、これらの道具は必需品ですね。

欧文のカリグラフィや、漢字の書道は、どちらも勉強なさったんですか?

小子 僕は大学の美術学科を卒業しているので、基本的な技法は一通り身につけています。他人のつくった文字……既存のフォントなどをタイトルにそのまま使うことはあまりしたくない。フォントをそのまま使っても、本の内容に沿わなかったり、文章とマッチングしなかったりする。

フィッツジェラルドの『夜はやさし』とヘミングウェイの『日はまた昇る』は同時期に刊行されているのですね。

小子 そうなんです。違う出版社から同じ時期に出版されました。刊行時期が近かったこともあり、近い手法や効果を用いて、この2冊が互いに呼応し合うような感じにしています。というのも、実はフィッツジェラルドとヘミングウェイは友達であり、また良きライバルでもあったからです。

ちょうどこの2冊の本をデザインしていた頃、ディスカバリーチャンネルで、漁師の格闘や賭け事を取り上げた番組を見たんです。その博打というのが、どちらが多く魚を捕れるか重さを競い合うという勝負で、負けたほうが飯や酒を奢るというようなものでした。その番組からヒントを得て、もしこれを作家同士に置き換えてみたならば、彼らは何を競い合い、何を賭けるのだろうかと想像してみたんです。そうして、満足のいく文章が書けたとき、あるいは会心の作品が完成したときに、その本を互いに贈り合うイメージが浮かびました。そこで、彼らが『夜はやさし』と『日はまた昇る』を送付し合えるように、切手をデザインし、それぞれの表紙に入れました。

台湾では、故人の書籍をデザインする際、作家の遺影や油絵の肖像画を掲載するのですが、フィッツジェラルドとヘミングウェイが今なお人々の心に活き活きと生き続けるためには本をどうデザインしたら良いのか……、どうデザインすれば、まだ健在している作家の本のようになるのか、考えを巡らせました。そして、過去と現在の時を行き来する「小人」をそれぞれの本の表紙に登場させています。小人の記憶の往来を通して、作家たちが読者と交流できればと考えました。

『日はまた昇る』の裏表紙には闘牛のイラストレーションが描かれていますが、この牛の部分、もしかしてバーコードでしょうか。

小子 そうです。バーコードで遊ぶのが好きなんです。

ちゃんと読み取れますか?

小子 読み取れます。僕はすべてのデザインに意味がなければ嫌なんです。だから、必ず入れなくてはならない要素であるバーコードにも、時間が許される限り、表紙全体と融合したデザインを施したいと思っています。