• 『No. 223』
    著:林志鵬 
    自轉星球 2012
    280×185×22 mm

    No. 223は林志鵬の別名。
    北京を拠点に活動する写真家

聶永真

Aaron Nieh | アーロン・ニエ

写真の順番は一緒に決めたんですか?

アーロン 両方とも全部僕が決めました。写真集というのは文字が少ないほどいいと思うんです。なので『No.223』の本は、全ての文字部分を他の一冊にまとめています。あと、本全体にはそぐわないけど捨てるには惜しい、いい写真が必ず出てきますよね。そこで今回は、本体に収録されている写真は、写真集全体のリズム感に合うものだけを厳選し、他の捨てるには惜しい写真を別冊にまとめたんです。

プロデュースだけでなく、編集作業もアーロンさんがやったんですね。

アーロン フォトグラファーは往々にして、写真を一枚一枚吟味しながら、選定をしていく傾向があります。僕たちデザイナーは、写真集全体を通したリズム感を重要視します。作家が理想とする見せ方は、自分の展覧会やその他の機会で実現してもらえればいいと思うので、この写真集に関しては、本全体のリズム感に合うかどうかが基準となっています。彼らには僕を信頼して任せてほしいと、事前に伝えました。

二人とも選択された写真やその組み方を見て、何度か「エッー」って叫んでましたよ。自分たちのお気に入りの多くがふるい落とされちゃったから(笑)。でも一番かっこいい写真であっても、この写真集に適しているとは限らないでしょう。

 

政治への関心

この5年間の作品を見ていると、地に足が付いたデザインが多くなった印象です。2011年の取材では、アーロンさんが参加した若手アーティスト5人の展覧会「一克拉的夢想當代美學展」があったばかりで、見かけにインパクトのある作品に目が行ったし、取材の内容も誠品書店のためのノベルティノート「無規則筆記」が中心でした。6種類の変形の紙をノートにまとめた、相当印刷所泣かせのデザインでした。でも最近の作品は、ギミックを遊ぶだけではなくて、もっとグラフィックの美しさや効果を追求しているように見えます。

アーロン あまりアバンギャルドなことはしなくなったかもしれないです。かっこいいということをたいして気にしなくなったかも。デザインにできることを考えるようになって、最近は政治にも関心を持っています。蔡英文の2016年総統選挙のメインビジュアルデザインは、スタッフの陳聖智と僕とで一緒に提案したものです。

選挙のビジュアル!? そんなこともやっているんですか?

アーロン 去年の台北市長選のビジュアルデザインを陳聖智が担当していて、今回もその流れで、彼に話が来たんです。大きい案件なのでチームとして一緒にやることにしました。蔡英文の政治理念に、全部ではないですけど、ある程度共感しています。今までの政治に関するデザインの多くは本当にダメなんで、政治とデザインの関係を問い直す良い機会だと思うし、少しでも何かを変えられたらいいと思ってこの仕事を受けました。

選挙ではないですが学生のデモ活動のポスター「Democracy at 4 am」。あれを見たとき、本当に嬉しかったんです。今、ああいう政治ビジュアルとか政治キャンペーンができるデザイナーって日本にいないんですよ。

アーロン でも僕らから見れば、日本の選挙のビジュアルデザインは整理整頓されているように感じますけどね。とはいえ、僕たちが総統選挙のビジュアルデザインを手がけられることも、台湾ならではの事情もありますし、チャンスだと思っています。