• I hate communication
    のポスター

  • 『不在:________博物館
    Absente:Musée de ________』
    著:童偉格、阮慶岳、許哲彬
      鄭智源、李時雍、胡晴舫ほか 
    大鴻藝術 2014 
    295×208×30 mm 

    「存在しないドキュメント、存在
    しない博物館コレクションカタログ」
    をテーマに作家たちが作品を提供。
    11人の作家によるテキストをまとめた
    1冊と、ポール・コイカーや川島崇志ら
    による11冊のビジュアルブックが
    ダンボールのケースに入っている。

  • 『不在:________博物館
    Absente:Musée de ________』

  • 『台北爸爸紐約媽媽X聶永真——劇場版紀念節目盒』
    人力飛行劇團(Mr Wing Theatre Company)の冊子付き
    サウンドトラックCD特装版 
    銀翼文創 2012
    155×215×22 mm

聶永真

Aaron Nieh | アーロン・ニエ

ジョーク、遊び

アーロン 自由に半分遊びでつくったような作品もあります。目的や使い道といったことはまったく考えずに。グラフィックデザイナーである以上は、デザインはクライアントのものですよね。でも時々コミュニケーションをスパッと放棄して、メッセージ性やコミュニケーションとかじゃなくて、ただ遊び心でデザインを楽しみたいと思うことがあるんです。

事務所の入口に置いてあるポスターに「I hate communication」と書いてあるじゃないですか。

アーロン クライアントが眼にするところに、わざと置いています(笑)

真面目なクライアントだったらびっくりしますよ。

アーロン ちょっとしたジョークですから。

作品集の書名の「#tag」ってどういう意味ですか?

アーロン tagはもうその名のとおり、タグです。2009年に出した1冊目の作品集のタイトルが「Re」で「新たに自分の作品を再表現する」というコンセプトでした。「Re」も「tag」もインターネットでよく使われている用語で、マスメディアを介して何かを伝達するときも、キーワードとして常に見る記号だから、タイトルに使いました。

5年前に出した作品集が『Re_沒有代表作』で、今回が『#tag 沒有代表作』。「沒有代表作」って「代表作はない」って意味だし、来た人が最初に目にするのが「コミュニケーションが嫌いです」とか。アーロンさんの作品って時々なんかちょっとジョークが入りますよね。

アーロン 面白いかなと思って。2作目の作品集を出すとき、僕のイメージやデザインはすでにブランド化されていると思ったんです。誰かが何かのデザインを目にしたとき「これはアーロン・ニエがつくったんじゃないか」と憶測したり、僕のデザインでないものも「アーロンっぽい」と思われている。そういう雰囲気のなかで、自分の作品集を代表作だ! って言うより「代表作がない」のほうがいいかなと。ストレートな表現はどこかシリアスすぎる気がして。僕自身もそんな堅い人間じゃないし。

タイトルに「#」をつけているのは、実は出版社のプロモーションやメディア戦略を意識しているんです。Facebookで単語の前に「#」記号をつけることがありますよね。そうすると検索しやすくなって投稿が拡散していくので、PRにつながりやすい。例えばFacebookで「#tag沒有代表作」と打てば、この本の情報がたくさん出てきますよ。

「代表作はない」と作品集で言っているのですけど、特に気に入っている作品をいくつか見せてもらえますか?

アーロン 『不在:________博物館』は舞台劇のための本です。フランスの美術作家ソフィ・カルへのオマージュを込めて、彼女の人生を再解釈し新しい物語をつくった作品です。終演後にアートブックを出すことにし、舞台監督と僕とで、アーティストや作家に声を掛けて、同じテーマで作品を提供してもらったんです。アングラな手づくり感を出したかったので、シールの貼る位置やスタンプの押す場所の指示をきちんと出さず、印刷所に任せました。結果、一冊一冊仕上がりちょっとずつ違ってるんです。

中身は箱にギュウギュウに入っていて、ダンボールを開ける前は平たい状態になっているんだけど、黒いテープを剥がして本を開けると、中のものが爆発するかのように開いて、元に戻らない。付属品や冊子をギュッと圧縮して入れてコントロール不能な効果を狙ったんです。

すごいですね、満杯感が。コントロール不能という点に何か理由があったんですか?

アーロン 規格がすべて均一に統一されたものではない何か、コントロールできない状況を、書籍を介して表現してみたかったんです。

何部つくったんですか?

アーロン 確か1500部くらいです。参加したフォトグラファーやアーティスト、みな個性が違うので、それぞれのイメージに合わせて使用する紙を変えています。

この写真の箱のようなものも書籍なのですか。

アーロン 『台北爸爸紐約媽媽』(台北パパ、ニューヨークママ)は僕がずっと一緒に仕事をしている劇団、人力飛行劇團のサウンドトラックCDが入ったアートブックです。ボックスセットになっていて、森栄喜の写真集や出演者の情報などが入っています。主人公の実家が写真館を営んでいる設定だったので、フィルムの箱を模した外装にしました。また、昔台湾ではどの写真館でも外国の風景画が印刷された小袋に写真を入れてくれました。その当時の紙袋を再現しています。