• 『#tag 沒有代表作』 限量盒裝版
    著:聶永真
    自轉星球 2014 
    482×352×26 mm 
    限定版ケース入りのアーロンの作品集

  • 『#tag沒有代表作』 POP袋裝版
    著:聶永真 
    自轉星球 2014 
    作品集の普及版 
    300×200×12 mm

聶永真

Aaron Nieh | アーロン・ニエ

デザインの力で台湾を動かす

文=渡部千春

いま台湾で最も人気のあるグラフィックデザイナーは? と聞けば、聶永真(アーロン・ニエ/ニエ・ヨンジェン)の名前が出て来るに違いない。主に書籍とCDのデザインを手がけ、エッジのきいたデザインでこれまでにない視点から作家やアーティストの側面を浮き彫りにしてみせる。 今回の取材では、昨年上梓された、過去5年間の作品をまとめた作品集を見ながら話を聞いた。 場所は引っ越したばかりという新しいオフィス。だが、変わったのはオフィスだけではないようだ。 聞き手は2011年にも聶さんの取材をしているが、この4年の間に彼の作品も制作姿勢にも変化があったようだ。

 

限定版は5分で完売

事務所も引っ越して随分変わりましたね。前は一人でしたけど、いまはスタッフがいるんですね。

アーロン 彼には2年前からアシスタントとして入ってもらったんですが、いまはもう一人前のデザイナーなので、アシスタントではなくてスタッフですね。

随分整然とした事務所で。前はそこら中に書類や資料の本が積み重なっていて、片付けられない、と言ってましたけど。

アーロン 一度きちんとしないとダメだなと思ったんですよ。物の整理もそうだけど、仕事に対しても混沌としていたらいけないなと。

本当なら日本風に名字の「聶さん」でお呼びするところなんですけれど、すでに日本でも「アーロン・ニエ」で名前が知られていますし、アーロンさんと呼ばせてもらいますね。作品集『#tag沒有代表作』が話題になっていますね。これはいつ出たんですか?

アーロン 去年の秋です。2009年から2014年の作品をまとめたものです。ピンクのビニール袋に入った普及版の他に、700部の限定ボックス版(限量盒裝版)も出しています。普及版は580元(約2320円)で、限定版が1800元(約7200円)です。いろいろやりたいことがあってもコストの問題でできないこともあるんで、今回は700部だけ限定版をつくって、それから普及版を出しました。

台湾では本でもCDでも限定版を先に出すことがよくあります。本よりCDのほうがよくありますが。話題性を喚起するための仕掛けなんですが、例えば、部数限定販売の場合、あっという間になくなってしまいます。それを踏まえてヒット書籍としてニュースリリースを配信し、その後通常版で発行する、という方法ですね。

こういう方法はあんまり日本ではないですね。

アーロン 過去につくった本で、特に印刷部数が少ないものは、大体2週間から1か月で完売してしまいます。通常、限定版は数百部しか発行しません。出版社がそれくらいの部数であれば、負担しやすいというのがあります。この限定版もすぐ売れてしまうことは予測していたので、必要以上に買い占めないようお願いしてました。100冊は残しトークイベントなど実店舗でも買えるようにはしています。印刷部数が少ないものといえば、舞台のポスターなんかもそうで、無料で配布しているためすぐなくなって、欲しくても手に入らないという人が多いんですよ。なので、多くの人はこういう凝ったデザインを眼にすることも、手にすることもできません。なのでまたいつか凝ったデザインのものを見せられればいいなと思っていたんです。